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杉浦日向子の「ごくらくちんみ」で珍味とその食味を味わう

杉浦日向子は江戸を題材にしたマンガやエッセーで人気を博しましたが、2005年に亡くなっています。この「ごくらくちんみ」は小説新潮に連載された最後の作品集。
血液の免疫系の難病で体力がなくなりマンガ家は引退していましたが、ちんみと酒を入り口に人生を切り取った68篇の各1300字ほどの掌編集です。

なかには珍味とはいえないと思えるものもありますが、ちんみ・お酒と会話の取り合わせが絶妙で読んでいるだけで口中に唾が湧いてきます。

食味を美味しく書ければ一流の文筆家といわれますが、まさしく名文が味わえる文章のごくらくちんみです。
新潮文庫に集録されているので是非ご一読ください。


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杉浦日向子選定の珍味の数々をご紹介します。

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青ムラくさや (島焼酎)

飴色の木屑のような一片を、指でつまんで口にほうりこむ。複雑な旨みが、舌の付け根と上顎から鼻腔、喉をやんわり圧しひろげつつ、暖かい風のやさしさでわたっていく。強烈な臭気とはうらはらに、まことに品の良い、繊細な味覚である。、うまいといって、次から次につまむものでもない。ゆっくり噛んで、焼酎をなめるように、ちびりと含む。出過ぎずほど好く、申し分のない伴侶だ。腹側、背側、頭の回り、尾の付近、部位による味わいのちがいを噛みしめるのも愉しい。

【くさや】
アジやトビウオの開きを「くさや汁」(発酵した塩汁)に漬けた干物。
独特の異臭が名前の由来。

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たたみいわし (純米冷酒)

遠火でじんわり。はあっと、ほろ酔いの溜め息にも似た、甘く華やいだ香気が立ちのぼる。(中略)たたみいわしは、来し方をあぶりだす。はらりと金粉をまぶしたほどの焼き目にして、醤油なしで、さっくり歯をあてる。
赤ちゃんのくせに、いっぱし鰯のDHAの油がふくらんでいく、海水の塩気が、大海原を呼び出す。いのちのみなもと。

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【たたみいわし】
シラス(イワシの稚魚)を型枠ですくい、天日で干して網状に固めたもの。
あぶって食す。

江戸っ子の人気おかずでもあったようです。
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とうふよう (泡盛)

「ん。なにこれ。レバー? フォアグラ? ウニ? 濃ゆいねー。うまいけど」
(中略)
アイコは、つまようじでサイコロの角を飯粒大に削って口へ含んだ。舌を太らせると、上顎へ、ぬっとなめらかに溶けてやわらかく消えていく。その余韻が、口中にひろがるところへ、カシャカシャとグラスをゆすって、ロックの泡盛を流しこむ。味蕾の溝に、わずかにのこっていたクリームが、一気に浮き上がって渾然となり、上等な酒に早変わりして喉をすべりおちていく。とうふようさえあれば、安い酒でじゅうぶんだ。

【とうふよう】
陰干しした沖縄豆腐を、泡盛と紅麹(べにこうじ)の汁に数か月漬けて熟成させる。チーズと練りウニの風味。
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