スポンサーリンク

杉浦日向子の「ごくらくちんみ」で珍味とその食味を味わう-2

スポンサーリンク

さなぎ (赤ワイン)

すこし埃っぽい日向の匂いがする。脂はそこそこのっているが、後味はおかきやあられに近い。ワインとあわせると、調味の砂糖が花開いて、わがままな女王様の食後酒に添えた、プチ・フールのおもむき。
「ナッツ? 佃煮なんだ。こうばしい。味は濃厚なんだけど中スカスカだね」
「まあね。お肌にいいらしいよ。信州ワインに合うでしょ」

【さなぎ】
蚕の繭(まゆ)から絹糸を巻き取り、
残ったさなぎを食す。
栄養満点で上質のタンパク源。


楽天で探す
アマゾンで探す

またたび (カルバドス)

ふいに、氷温室にしまいこんでいた「またたびの酢漬け」
がひらめいた
オリーブふたつほどの、ぽっとりした縦長の大きさの肌合いと歯触り。こまかい褐色の種が、シャキシャキ密かに弾む。ついで、くんと鼻腔を奔る青臭い野趣あふれる風味。

【またたび】
日本の山地に自生する。
辛みが強く特異な香気がある。

ネットショップで探す

がん漬け (テキーラ)

小皿のそれは、錆びて粉々に砕けた機械の部品のようだ。冬に備えて身のよく入った晩秋のシオマネキを、活きたまま粗く潰し、塩と唐辛子を加え熟成させた貯備食。
濃褐色の破片に、小雪状の斑点が浮かぶ。ざりざりと歯に当たる感触は食品離れしている。きつい塩気に唾が涌き,干潟が満ち潮になるごとく口一杯に海が広がる。ついで、辛い刺激が夕陽の照り返しの具合に顔を包み、眉間がかすかに汗ばむ。テキーラを含むと、ゆるやかに甘露になった.
「かなりいけます」
「うん。でも砂を嚙んでるみたいでしょ」

【がん漬け】
佐賀の特産品。かに漬け、真蟹(まがに)漬けとも。
飛鳥時代には宮中で食され、
万葉集にも歌われた。

ネットショップで探す

 

 

前の「ごくらくちんみ」記事はこちら

杉浦日向子の「ごくらくちんみ」で珍味とその食味を味わう
杉浦日向子は江戸を題材にしたマンガやエッセーで人気を博しましたが、2005年に亡くなっています。この「ごくらくちんみ」は小説新潮に連載された最後の作品集。血液の免疫系の難病で体力がなくなりマンガ家は引退していましたが、ちんみと酒を入り口に人...

 

次の「ごくらくちんみ」記事はこちら

杉浦日向子の「ごくらくちんみ」で珍味とその食味を味わう-3
ふぐこぬかづけの食味の描写は、、「かなり塩辛いが、あとくちは、きりりと甘い。どぶろくとあわせると、冬の夜がのっしりと居座る充実感。辛く重く甘い。、、」

 

本の「ごくらくちんみ」はこちら


楽天
 アマゾン

コメント