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ペリーの黒船に提供した日本史上最大・最高額の百川による接待料理とは

嘉永6年6月3日(1853年7月8日)に、ペリー率いるアメリカの艦船4隻が来航しました。

維新の動乱を加速した、「黒船来航」で、次の狂歌は知っている人も多いでしょう。

泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四杯で夜も眠れず

この時の来航は、アメリカ大統領の日本への開国を促す親書を携えたものでしたが、翌年回答を受け取るということで10日ほどで帰っていきました。

ペリーは翌年1月16日(1854年2月13日)に軍艦7隻を率いて再来航。
その後、横浜村での何回かの交渉を経て3月3日(3月31日)にアメリカとの最初の条約、「神奈川条約」が締結されます。

その間の第1回目の交渉時、2月10日の昼にぺりー一行への接待として料理が振る舞われたのですが、この中身が凄い。
記録に残っているものの中では(記録が無いものも含めて)恐らく史上最大・最高の饗しと思われるので、小泉武夫の「幻の料亭 百川ものがたり」をもとにその概要をご紹介します。

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史上最高額の接待料理は1人前3両(約30万円)で500人分を用意

幕府から頼まれて料理を差配したのは、日本橋の料理茶屋「百川(ももかわ)」。

なにしろ、幕府の威信を賭けてアメリカ側を驚かせようとの饗応ですから、金額にいとめはつけません。
1人前3両で500人分ですから、総額1500両(1両10万円として、1億5000万円)になります。
アメリカ側300人、日本側200人。人数・金額とも凄い数字です。

当時、百川が日本橋の店で出していた料理の最上等が2000文で、約1/3両なので、3両はその10倍の価格になります。

もっとも代金は不払いになった可能性が高く、百川が明治以降消えてしまった原因の一つではないかとも言われています。

ペリーの黒船艦隊一行を饗応した本膳料理の献立は?

提供された献立の明細も記録文書(※)が残っているので判明しています。
(※)「大日本古文書」の「幕末外交関係文書之五」・「二月十日横浜応接場米人饗応献立書」

料理は幕府の意向に沿った本格的な本膳料理なので、大半は魚介類の刺身、吸物、煮物、焼物でアメリカ人の口に合うような油で炒めたような料理はありません。

料理はおよそ90種、菓子3種

食材の中心は魚介類で、真鯛、ひらめ、かれい、むつ、はまち、甘鯛、平貝、赤貝、鮑、栄螺、昆布、海苔、海老、烏賊、海鼠など。

献立名もすべて載っているのですが、百川独特の名前で実態が分からないものが多いです。
分かるものうちで例を挙げると、
・「猪口」の「山葵せん」;山葵を繊切りにしたもの
・「丼」の「目打白魚」;白魚の目に竹串などを刺し、数匹をまとめて調理したもの
・「太平」の「火取根芋」;新芽が少し伸びた状態の里芋を焦げ目が付かない程度に炙ったもの
等々。

肉料理は、和風味付けの「ぶた煮」と「鴨大身」の2品だけ。

日本側から箸の使い方を教えたが、うまく使えず持参してきた銀色の金属のさじ、熊手のようなもの(フォーク)を使い、小刀で切って食べたと書かれています。

黒船一行向けのデザートお菓子は、カステラ他です

ペリー一行は刺身等の生魚は食べられなかったようですが、一番喜ばせたものはお菓子でしょう。

当日はアメリカ人用に「粕庭羅(カステラ)」がデザートとして供されました。
大きさは、厚さ約4cm、幅約5cm、長さ約10cm。
こちらは、現在のものとあまり変わりはなかったようです。

その他のデザート二品は、
・海老糖;有平糖を平らに伸ばし、クルリと半巻きにして海老をかたどった紅白の砂糖菓子
・白石橋香;能の石橋にちなんだ牡丹と舞う獅子をかたどった白い落雁

ペリー艦隊からの答礼晩餐会は日本側も大はしゃぎ

幕府が百川に命じて、その持てる力を総動員させた本膳料理のアメリカ方の評判はあまり良くなかったようですが、それも仕方がありませんよね。

彼らアメリカ人は脂っこい肉料理が好みで、魚を主にした繊細な日本料理が分かるはずはありません。
それでも幕府の心配りは分かったようで、日本側を晩餐に招待しています。

2月29日に旗艦ポーハタン号へ林大学頭ら5人の応接係と約60人の役人が招かれます。
牛や羊の肉、魚、スープ、砂糖煮などの料理に、ぶどう酒・シャンパンなどのお酒が振る舞われます。

応接係の一人で、したたかに酔っ払っていた松崎満太郎は帰り際に、ペリーの首に両手を回して抱きしめながら、「日本とアメリカの心はひとつ」と繰り返しながら退艦していったそうです。

まとめ

このように、異文化間の理解は難しく、とくに食の違いは決定的ですが、
最近はだいぶ解消されて来ているかもしれません。

現代の最高位の接待はこちらでしょうか

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